1. Peaceful(ピースフル)とは
「Peaceful」は、認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)の手法をスマートフォンで実践できるセルフケア・メンタルケアアプリです。iOS(App Store)およびAndroid(Google Play)の両OSに対応しています。
ひとりで取り組める設計となっており、利用者が自身の感情や思考の傾向を客観的に理解し、より適応的な考え方(ふさわしい考え方)を導き出すプロセスを支援します。具体的には、AIを活用した感情の推定、思考傾向の分析、別の視点の提案といった機能により、利用者の自己理解と柔軟な思考の獲得をサポートします。
なお、App Storeにおいては1,290件以上のレビューで平均4.7の評価(2026年3月時点)を受けており、CBTの理論とAI技術を組み合わせたメンタルヘルスアプリとして展開されています。
2. 主な特徴
Peacefulは、認知行動療法の代表的な手法である「コラム法(※)」を、アプリ独自の使いやすい形式に最適化して提供しています。
※コラム法:出来事・感情・思考を切り分けて書き出し、客観的な視点を導くことで認知の歪み(考え方のクセ)を修正するワーク手法。
- コラム法に沿った正しい流れを手軽に実践
- 「出来事」「自然と浮かんだ考え(自動思考)」「別の考え(適応的思考)」の3つのフォームと、感情の強さを入力するシンプルなUIを採用。
- コラム法の定石に沿うことで、科学的かつ建設的なアプローチで自身の思考や感情を理解し、バランスのとれた適応的な思考を身につけることができます。
- AIによる思考分析と視点の提案
- 利用者の入力内容に対し、AIが出来事と感情のつながりを客観的に分析します。感情の言語化やラベリングに加え、その背景にある価値観への示唆を行うことで、深い自己理解を促進します。
- さらに、7種類の異なるアプローチから「別の視点」を提案し、一人では難しい思考の切り替えをスムーズに促します。
- 完全プライベートな自己完結型ケア
- カウンセラーや第三者を必要とせず、誰にも知られずにどこでも取り組めます。
- アプリ起動時のパスコードロック機能により、家族や身近な人にも閲覧される心配がなく、プライベートな感情をありのままに書き出すことが可能です。
- 入力内容はAIに学習されたり、本人以外に見られることはありません。データも暗号化され保存されています。
- 傾向分析と習慣化のサポート
- 利用者の記録をもとに、ウィークリーレポートで思考傾向(陥りがちなパターン)を推察します。
- 1週間を振り返り、翌週の目標を立てる「ウィークリーインサイト」機能や、月の気分を俯瞰できるカレンダー機能により、長期的な自己改善を定着させます。
3. 利用するメリット
継続的に利用することで、ユーザーは以下のような心理的・実務的なメリットを得ることができます。
- 感情のコントロールと切り替え
- 自分の考え方を疑い、適切な捉え方に修正するプロセスを繰り返すことで、ネガティブな気持ちからの切り替えが早くなります。
- モヤモヤとした不安の正体が言語化され、必要以上にストレスを感じにくくなります。
- コストと手間の大幅な削減
- 対面式のカウンセリング(1回あたり約4,000円〜10,000円、予約や移動の手間)と比較して、年間5,880円という安価なコストで、時間や場所を問わずケアが可能です。
- 日常生活の質(QOL)の向上
- 感情が安定することで、安心して眠りにつけるようになり、日々の生産性向上につながります。
- 「性格だから仕方ない」と諦めるのではなく、自分自身を変えていけるという自己効力感(自信)が育ちます。
ただし、本アプリは生活改善のための気づきや情報提供を目的としており、診断や治療は行なっておりません。
4. 対象者(おすすめな人)
Peacefulは、以下のような悩みや課題を抱える方に特に適しています。
- 日常的に不安やモヤモヤを感じている方
- ネガティブな思考ループ(自動思考)から抜け出せない方
- 気分の落ち込みが長引きやすい方
- 些細な出来事で傷つきやすく、感情の波に疲れてしまう方
- 対面でのカウンセリングにはハードルを感じるが、本格的なセルフケアを始めたい方
5. Peacefulの使い方と主要機能
Peacefulの利用プロセスは、気分の記録 → 整理(自己理解)→ 別の考え(認知の修正)→ 定着(習慣化)の確立された流れに沿って進行します。
1. 気分のモニタリング
アプリを開き、現在の気分を「天気マーク(雨〜晴れ)」でタップして直感的に記録します。これにより、日々の気分の波をシンプルにモニタリングします。
2. 「整理」セクション(出来事と感情の分離・言語化)
心の中にあるモヤモヤを、「出来事(トリガー)」と「自然と浮かんだ考え(自動思考)」に分けて入力します。さらに、32種類の感情から該当するものを選び、その強さを10段階で評価します。
利用者の入力がまとまっていなくても、AIが以下の「気持ちの言語化(3ステップ)」を行い、客観的な自己理解をサポートします。言語化AIに関する記事
- 分析(ラベリングと因果関係の整理): 漠然とした感覚に対し具体的な感情名(例:「悲しみ」と「焦り」の混合など)を提案します。さらに「出来事→思考→感情」という心の因果関係を論理的に紐解き、反応パターンを明確にします。
- 言語化(心情の客観的記述): 短い言葉になりがちな利用者の入力内容からニュアンスを汲み取り、第三者視点の文章として言語化します。モヤモヤの正体を明確な言葉に変換することで、現状の正確な把握を促します。
- 価値観の発見(リフレーミング): ネガティブな感情の背景にある「責任感の強さ」など、利用者の肯定的な価値観や強みを推測して提示します。これにより、自己否定を論理的に自己受容へと転換させます。
3. 「別の考え」セクション(認知の修正と再評価)
自身の自動思考を疑い、実際の状況に対してより適応的な「別の考え」を検討・入力するフェーズです。一人では視点の切り替えが難しい場合でも、「7種類のAI」が認知の歪みに対応した多角的な視点を提案します。7種のAIに関する記事
- 7種のAIの提案例:
- 「ブルー」:白黒思考や完璧主義に対し、物事をグラデーションで捉える視点を提案。
- 「イエロー」:マイナス思考や過小評価に対し、状況のポジティブな面を提示。
- 「グリーン」:「〜すべき」という無意識のルール(べき思考)への気づきを促す。
- 「シルバー」:過去の記録データを参照し、利用者の傾向に合わせた柔軟な視点を提案。
新しい考えを入力した後、再度「感情の強さ」を10段階で評価します。認知が変化したことによる感情の落ち着き(数値の低下)を、利用者自身が実感できる仕組みです。
4. 改善を定着させるサポート機能(習慣化)
認知の修正を一時的なもので終わらせず、日常生活に定着させるための中長期的なサポート機能を提供します。
- 言い聞かせ機能(反復による定着): 日常で意識したい言葉(例:「完璧でなくてもいい」)を設定し、指定した曜日・時間に通知を送る機能です。加えてアプリ内で1日1回、計15回(最短15日間)全画面で言葉を表示し、新しい認知の定着を図ります。完了後の延長も可能です。
- ウィークリーインサイト(傾向分析と目標設定): 毎週日曜日に配信される振り返りレポートです。1週間の感情の割合や気分の推移グラフ、達成できたハイライトを可視化します。さらに、記録から「完璧主義的な傾向」などの思考パターンをAIが分析・提案し、それに基づいた翌週の目標設定をサポートします。設定した目標は、入力画面に常に表示され、日頃から意識するための通知も届きます。
- カレンダーと感情ツリー(中長期の可視化):
- カレンダー・気分グラフ: 月間の気分の波を天気マークや5段階のグラフで俯瞰し、自身の調子のパターンを把握します。
- 感情ツリー: 記録時に選択した32種類の感情が、それぞれ固有の色を持つ「葉」となり、木が成長していくビジュアル機能です。感情の強さに応じて葉の量が増加し、月単位・年単位での自身の感情分布を一目で把握できます。
6. 利用上の注意点とデメリット(限界)
Peacefulは手軽なセルフケアツールである反面、以下の点において限界やデメリットが存在します。
医療行為(診断・治療)の代替ではない
本アプリは生活改善のための気づきや情報提供を目的としており、診断や治療は行なっておりません。食欲低下、不眠、強い希死念慮など、具体的な症状が現れている場合は、精神科・心療内科などの医療機関を受診してください。
環境要因(現実的な問題)の直接的な解決にはならない
いじめ、ハラスメント、貧困、過労など、明確な環境要因が心の健康を害している場合、認知(考え方)を変えるよりも、先にその環境的・現実的な問題を解決することが優先されます。その場合は、問題に応じた専門機関を頼る必要があります。
自由な雑談(チャット機能)はできない
Peacefulには、汎用AI(ChatGPTなど)のように「友人と会話するように自由に悩みを吐き出す」機能はありません。これはデメリットに見えますが、意図的な設計です。自由なチャットは一時的な共感を得られる反面、AIの無条件な肯定がかえって利用者の「認知の歪み(偏った思考)」を強化してしまう恐れが指摘されています。本アプリは認知行動療法の「型(カラム法)」を厳格に守ることで、科学的かつ建設的な自己改善のプロセスから逸脱しないよう制限を設けています。
7. 他ツール等との客観的な違い
対面カウンセリングとの違い
対面カウンセリングは、専門家(臨床心理士など)が高度な知見と経験に基づき、利用者の表情や声のトーンまで含めて多角的に状態を評価し、深い改善を促すことができます。しかし、1回あたりの経済的コストが高く(1回あたり4,000円〜10,000円)、予約や通院の手間、カウンセラーとの相性といったハードルが存在します。Peacefulは専門家の深い介入には及びませんが、圧倒的な低コストと手軽さで「日常的なセルフケア」を可能にするオプションとしての位置づけになります。
紙のワークブック(書籍)との違い
紙のワークブックは、枠にとらわれず自由に書き込める柔軟性があります。しかし、ネガティブ思考のループに陥っている際、自分ひとりの力で「客観的な別の考え」を思いつくことは非常に困難です。Peacefulは、スマートフォンで手軽に入力できるだけでなく、AIが客観的で多様な視点を提案するため、思考が行き詰まるのを防ぎます。また、入力データが自動的にグラフ化・傾向分析される点も、紙媒体にはないデジタルならではの強みです。
汎用AIツール(ChatGPT等)との違い
ChatGPTなどの一般的なAIは、自由に悩みを相談できる良さがあります。しかし、心のケアに特化した「決まった手順」がないため、利用者が「正しい取り組み方(認知の修正プロセス)」を見失うリスクがあります。また、利用者のネガティブな発言をそのまま肯定・増幅してしまう可能性もあります。Peacefulは、CBTのカラム法というフレームワークにAIを組み込んでいるため、道に迷うことなく、正しいステップで気持ちを整理し、より良い考え方を身につけていくことができます。
8. 価格体系
Peacefulは、記録や振り返りといった基本機能を無料で提供し、AIによる高度な分析・提案機能を「有料プラン(サブスクリプション)」として提供するフリーミアムモデルを採用しています。
特筆すべき点として、利用の継続(習慣化)を後押しする独自の無料開放システムを備えており、課金せずとも一定条件を満たせばAI機能を利用することが可能です。
利用料金
- 月額プラン: 880円 / 月 税込
- 年額プラン: 5,880円 / 年 税込(※月換算で490円)
※ 2026年3月時点
無料トライアルと独自のAI無料開放システム
有料プランの購読前に、機能の有用性を客観的に確認できる仕組みが整っています。
- 初期5日間のフルアクセス: アカウント登録後、最初の5日間はすべてのAI機能を含む全機能が無料で開放されます。課金を行う前に、自身の課題解決に役立つかを十分に試用・検討することが可能です。
- 継続記録によるAI機能の無料開放: 初期トライアル終了後も、「3日間連続で記録を行うと、その後の2日間は主要なAI機能が無料で開放される」という独自の仕組みが導入されています。これにより、日々の記録を習慣化するモチベーションを維持しつつ、無課金でもAIのサポート(気持ちの言語化や別の考えの提案)を定期的に受けることができます。
- ※ウィークリーインサイト(週次レポート)は対象外です
無料プランで利用できる機能
- 記録機能(無制限): 「出来事」「自動思考」の書き出し、感情と強さの選択、「別の考え(適応的思考)」の入力といった、認知行動療法の基本ワークは何度でも無料で利用可能です。
- 過去記録の閲覧: 過去に記録したテキストデータは期間の制限なく閲覧できます。
- 可視化機能(期間制限あり): 気分グラフ、感情ツリー、カレンダーといったデータの可視化機能は、「当月・先月・先々月」の過去3ヶ月分のみ表示可能です。
- 言い聞かせ機能: 意識したい言葉を画面表示や通知でリマインドする機能は、1つまで登録できます。
有料プランで追加・拡張される機能
有料プランに加入することで、以下の機能が制限なく利用可能になります。
- AI機能の無制限利用: AIによる「気持ちの言語化(分析・言語化・価値観の発見)」および「7種類の視点からの別の考えの提案」が、いつでも無制限に利用可能になります。
- ウィークリーインサイトの受信: 毎週、その週の気分と感情の傾向、達成できたことのハイライト、AIによる傾向分析、およびそれに基づいた翌週の目標提案をまとめた詳細なレポートが届きます。
- 可視化機能の全期間解放: 気分グラフや感情ツリーなど、過去の全期間の記録データが可視化され、長期的な感情の傾向を俯瞰できるようになります。
- 言い聞かせ機能の登録数増加: 登録できるリマインドの言葉が、最大10個まで拡張されます。
9. 利用者の声
アプリストアでの評価
Peacefulは、利用者から高い満足度を得ており、App Storeにおいて1,290件のレビューで平均4.7(5段階評価)を獲得しています。国内の主要なメンタルケア・認知行動療法関連アプリと比較した際の、客観的な評価数値は以下の通りです。
主要メンタルケアアプリのApp Store評価
| アプリ | 評価 | レビュー数 |
|---|---|---|
| Peaceful | 4.7 | 1,290件 |
| Awarefy | 4.3 | 6,434件 |
| 認知行動療法「こころの日記」 | 4.5 | 3,080件 |
| emol | 3.7 | 1,324件 |
2026年3月9日時点 執筆者調査
利用者の声(レビュー抜粋)
実際の利用者からは、AIによる客観的な視点の提案や、手軽さ、コストパフォーマンスに関して多数の評価が寄せられています。(※これらはApp Storeに寄せられた個人の意見です)
- AIによる客観的な視点と「気づき」への評価
自分ひとりでは思いつかない考え方をAIが提案してくれる点に、多くの利用者が価値を見出しています。
- 「使う度に、そんな見方があったのか!とハッとする考え方を教えられ、自分のネガティブ傾向にある思考の癖に気付かされています。」(2025年10月23日 - Jackson mav)
- 「『無理せず深呼吸』のようなゆるふわAIチャットとは違い、『理由もなく不安』といった漠然とした内容にもしっかりサポートされる優秀なアプリです。」(2025年9月24日 - タテゴトアザラシチャン)
- 感情の言語化と自己理解への評価
まとまらない感情をAIが整理し、明確な言葉にしてくれる機能が高く評価されています。
- 「AIが私の奥深くに渦巻いていた気持ちを、とても詳細に鮮明に書き出してくれて、涙が止まりませんでした。」(2025年7月21日 - ay86ko)
- 「気軽に話せる相手がいませんが、このアプリ相手なら素直に吐き出せます。感じ方の傾向やいろんな考え方を示してくれて、少し落ち着けるようになります。」(2026年1月26日 - 右利きさん)
- カウンセリングや紙のワークとの比較・コスト感
対面や紙のノートでの継続の難しさを解決するツールとして支持されています。
- 「カウンセリング1回分ぐらいの金額で年間利用でき、自分自身の思考のくせに気づくことができました。辛い状況にある時にとても助かりました。」(2026年1月22日 - murabito1)
- 「紙に書く認知行動療法は中々続かなくて悩んでいましたが、AI機能が豊富でスムーズに感情を整理してくれます。」(2026年2月26日 - hari.u)
- UIの魅力と継続のしやすさ
日々の記録を楽しく続けられる工夫が評価されています。
- 「毎日『心の木』がどのような成長をするかが楽しみで記録しています。明るい気分になることもある自分に気づくことができて嬉しかったです。」(2025年6月7日 - なたまめ君)
10. プライバシーとセキュリティについて
プライバシー
- 利用者が記録した内容は完全にプライベートであり、他の利用者や事務局に見られることはありません。起動時にアプリ内のパスコード機能でロックをかけ、家族による閲覧を防ぐことも可能です。誰にも打ち明けられない悩みも書き出すことができます。
- 記録した内容はAIモデルに学習されることはありません。
セキュリティ
- 通信と保存データは暗号化され、一般的なセキュリティプラクティスに則り設計・保存されています。
- 自傷や希死念慮に関する記録を自動検知し、アプリ内にて自殺予防専用ダイアル #いのちSOS への相談と助けを求めることを促しています。検知には OpenAIのモデレーションAPI を用いています。
11. 開発の背景と根拠、信頼性について
- 開発者自身がうつの諸症状や精神的な苦しさを感じていた時、早稲田メンタルクリニックの益田先生が公開している 認知行動療法のワークブック を自ら実践し改善した経験から、その体験をより手軽な形で多くの人に届けたいと発起し開発を開始しました。参考記事:心が限界だった自分が、認知行動療法に救われ、アプリを作るに至った話
- 厚労省が公開している認知行動療法マニュアル(患者用・治療者用)におけるコラム法がPeacefulの構成のベースとなっています。マニュアル上では全16セッション(面接)中、半分の8セッションがコラム法に割かれており、認知行動療法においてコラム法が中心的なワークであると言うことができます。
- 認知行動療法およびコラム法については、厚労省のマニュアルの他にも「こころが晴れるノート」大野裕著、「認知行動療法入門」伊藤絵美著、「認知行動療法」鈴木伸一ら著 など多数の文献を参考にしております。
- コラム法には状況、気分(及び感情とその強さの点数付け)、自動思考、根拠、反証、適応的思考、気分の変化の7つの項目がある7コラム法や、より項目の少ない5コラムや3コラムの形式も存在します。Peacefulでは、アプリ利用者の「手軽に使いたい」といった要望を踏まえ、コラム法の項目を継続的に見直しています。現在は、状況と自動思考、適応的思考に相当する3つのフォームと感情の強さを2回入力する、合計5つの項目となっています。